広告代理店は「戦略」ができない。とても刺激的な内容の呟きました。
広告代理店が戦略なんてできるわけがない理由を、6つの項目に分けて投稿しました。
その結果、数時間で数万インプレッションを得る反響がありました。
それについて、今回は、解説していきます。
そもそも広告代理店って「戦略」を考えるの?
そもそも論について、軽く解説します。そもそも広告代理店って「戦略」を考えるの?
結論から言うと、「YES」です。
広告代理店というと「広告クリエイティブ」(TVCMや新聞広告やコピーなど)や「メディアプラン」を提案する印象が強いですが、実は、はっきりと「ストラテジックプランナー」という肩書きのプランナーが各代理店に存在します。
そして、現役で競合コンペにて戦略を考えています。
電通での「ストラテジックプランナー」とは?
電通での「ストプラ」は最近は名称がストプラっぽくないものが増えています。
例えば、ストプラというよりも「コンサルタント」と呼んでみたり。
「●X」や「●X」みたいなひたすら「X」を付けたがります。
※TwitterがXになったのを馬鹿にできませんね。
以下は、実際の電通のBXのコンサルタントの募集。
こちらは少し営業職寄りですね。
もしくは、AXの「マーケティングプランナー」という職種が近かったりします。
主な業務内容が、少し経営戦略寄りです。
どちらかというと「電通デジタル」もストプラを募集しているイメージもあります。
博報堂での「ストラテジックプランナー」とは?
博報堂でも名称は変わりつつ、ストプラ領域を募集している傾向にあります。
現在は、募集自体はあまりされていないようですが、「ストプラ」という名称で、昔から存在します。
「博報堂 ストプラ」と検索すると、ストプラ出身の博報堂の人がたくさん出てきます。
よく「マーケ」とも呼ばれることがあります。
主に、「マーケティングシステムコンサルティング局」という部署にて「ビジネスストラテジスト」という肩書きの人が「ストプラ」という職種に近いかと思われます。
プロパーの人は「ストラテジックプラナー」と普通に記載されていたりするイメージです。
その他代理店も「ストプラ枠」を募集している会社は多いです。今、地味に需要があるのが実は「ストプラ」であったりします。
代理店が「戦略」なんてできるわけがない理由
では、本題の広告代理店が「戦略」なんてできるわけない理由を明記します。
代理店が戦略なんてできるわけない理由は、下記の6つがあります。
- そもそも広告領域の狭い領域。戦略よりも戦術が優先が高い
- 事業経験がそもそも皆無
- エグゼキューションや実施並走や効果測定機能がそれぞれ分断
- 所詮コンペに勝つための戦略のため、社会実装が伴わない
- 戦略フィー基本無料
- 1〜5言われて怒る
1 そもそも広告領域の狭い領域。戦略よりも戦術が優先が高い
こちらに関しては、明白ではありますが、「広告代理店」のメインの領域は言わずもがな「広告」の領域です。
これは、いわゆる4Pの領域にて「プロモーション」の領域に過ぎません。
かつ、その中で、さらに「広告」や「クリエイティブ」「販促」といった狭義の領域であることが多いです。
(一部では、もちろん領域を越境して既存の広告代理店の領域を超えている人や仕事もありますが、それは、ごく一部)
その狭い領域の中で、「戦略」というゲームを考えるのは、実は無理ゲーに近い可能性が非常に高いです。
※もちろんその無理ゲーを超える、ストプラやクリエーターもいることは事実ですが。
その狭い領域の中では、「戦略」よりも「戦術」の方が重要になってきます。
いかに戦略で成果を出すかというよりも、広告コミニケーションでどのような「戦術」で何をどのようにいうのかが重要になってくるのです。
※そもそもこの領域だけの「戦略」で大きな成果を出すのが博打的で難しい。
いわゆる、WHAT TO SAY と HOW TO SAY です。
事実、広告代理店では、ストプラの上に「CD(クリエイティブディレクター)」が立つことがあります。
しかし、CDはあくまでクリエーティブ領域の人間なので少し謎ではありますが。
2 事業経験がそもそも皆無
これは言わずもがなですが、広告代理店はビジネス経験としての事業経験がそもそも皆無です。
何か「売る」ということが、実は、苦手だったりします。
ビジネスモデルとして「広告代理業」であったり、クリエイティブや企画業といった「人材」により人資源の仕事であることが多いからということです。
シンプルに「モノを作って売る」や「サービスを作って売る」が実は苦手領域だったりします。
そして、そもそも経験がなかったりします。
3 エグゼキューションや実施並走や効果測定機能がそれぞれ分断
これは大きな問題点の一つです。
ストプラは基本的に「コンペの時」に参加する存在だったりします。ゆえに、大型コンペの時に登場し、コンペで勝利すると徐々にフェードアウトしていきます。
※広告代理店コンペあるある。
ゆえに、提案時とエグゼキューションは異なることが多くなります。クライアント都合で変わることはよくあり、仕方ないと思いますが、「戦略」というものに対して「責任」が伴わないという事実もあります。
エグゼキューションはCDがやったことで、結果が伴わないのはCDの責任になることもあります。これは、代理店ビジネスとしてCDもしくはストプラどちらを削れば案件が継続できるというやり方の一つでもあります。
トカゲの尻尾切り作戦で、本体は生き残る作戦です。
4 所詮コンペに勝つための戦略のため、社会実装が伴わない
これは、3に紐づきますが、「所詮コンペに勝つための戦略」であることが多いのです。
広告代理店のストプラは、すぐに戦略を変えることがあります。もちろん、戦略によっては「正解」はいくつもあります。ただ、大きな太い軸となる戦略がなかったりすることがあります。
俗に言うと、「提案がない戦略」だったりします。長々と調査を改めて整理して報告して、結局、クライアントのオリエンペーパーの課題と戦略にたどり着きます。提案要素がほぼないことがあります。
ゆえに、コンペに成立するためのエグゼキューションにつながる「戦略」であることが多いです。その結果、実際に実施した際に「成果」が伴わないことがあったりします。なぜなら戦略ではなく、「繋ぎ」だからです。
これは広告代理店が全て悪いという訳ではなく「競合コンペ」という形式をとっている、クライアント側にも問題があると考えられます。
5 戦略フィー基本無料
これについては、他の業界からは驚かれることがありますが、広告代理店が競合コンペに出る際は「基本的に企画費無料」です。もちろん、戦略フィーも当然「無料」です。
ただ、実施になった段階では、CDやクリエイティブには別途フィーが発生します。
しかし、ストプラは実は戦略に関わる費用がクライアントに請求されることがなかったりします。ゆえに、本当に「サービスとしての戦略」であったりします。 ※ただ、タダほど怖いものはありませんが。
(案件や会社に寄ることがありますが)
結果として、広告代理店が行う「戦略」は費用なき、コンペのための「戦略」に陥ってしまうことがあります。
(実施後に、月額フィーをストプラに支払う案件は少ない実状ではあるかと。会社によると思いますが)
サービスとしての戦略は、基本的に、あくまでサービスの域を出ることがないです。だって、基本無料なのですから。
6 1〜5言われて怒る
広告代理店のストプラに上記の内容をいうと「ムっ」となる可能性は高いです。
ただ、それは、実は、とても良くなくて「広告代理店で戦略」をやる上で上記を理解していないとストプラとしての成長がさらに浅くなるという勿体無いことになるからです。
広告代理店の「ストプラ」という仕事は、実は、面白いことができるチャンスを秘めています。事業会社で一つのブランドでずっと「戦略」を考えるよりも広告代理店のストプラは良い意味で「第三者目線」で関わることができます。
この第三者目線で戦略を考えるというのは、「広告代理店のストプラ」の良さの一つであり、強みです。
当事者ではないからこそ考えることのできる戦略は絶対にあります。
1~5を言われて、イラッとするのではなく、上記のもとをいかに攻略してクライアントのビジネスをいかに成功に導くのかを考えるのが「広告代理店のストプラ」かと思います。
まとめ
今回は、広告代理店は「戦略」ができない。といったちょっと刺激的な内容について、補足になりました。
ただ、だからと言って広告代理店の戦略が無意味なわけでは一切ないです。
代理店がなぜ戦略を出すのか?
それは、つぶやきにも記載しましたが、「営業」であるのではないかと考えています。
広告代理店が売るのはあくまで「広告」や「メディア」です。しかし、それだけを売る広告代理店にクライアントは広告を任せたいと思うでしょうか?
答えは「NO」だと思います。クライアントが求めているのは広告をただ考える会社ではなく、一緒に「広告も含めて考えてくれる会社」です。
ゆえに、広告をお任せするならば、事業の方向性を理解し、会社を理解する必要があります。
ストプラの人に言うと失礼かもしれませんが、広告代理店にとって「戦略」とは「究極の与件整理」でありクライアントとの目線と視座の確認になります。
目線が同じ世界で、夢を見るためには、広告代理店の「戦略」は必要なものです。
以上。補足でした。
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